「教員の給料って下がってきてるってホント?」
「もし下がってるんだったら、これからどうすればいいの?」
という不安を感じている先生も多いのではないでしょうか。
年配の先生方から「昔はもっとたくさんもらえてたんだよ〜。しかも手渡しで!」という話を聞いたことがありませんか?
私はよくその話を聞いていたので「今の教員は忙しいし給料減ってるなんて…悲しすぎる!」と思っていました。
でも、本当に教員の給料は減っているのでしょうか?
そして、今後どうなっていくのでしょうか?
この記事では、次のことを考察しています。
- 教員の給料の推移について
- 今後、給料の「絶対量」が下がる可能性について
- 今後、給料の「相対量」が下がる可能性について
記事を読むことで「これまでの給料の推移」と「今後の給料の変化」がわかるようになりますよ。
これまでの教員の給料の推移
まずは、過去10年間の教員の月額平均給料の推移について見てみましょう。
下の表とグラフは、「地方公務員給与実態調査」の平成22年〜令和2年度までのデータをまとめたものです。
H22 | H23 | H24 | H25 | H26 | H27 | H28 | H29 | H30 | H31 | R2 | |
小・中教育職 | 372,202 | 371,303↓ | 368,725↓ | 367,031↓ | 367,201↑ | 365,146↓ | 362,806↓ | 359,806↓ | 357,441↓ | 355,362↓ | 353,398↓ |
高等学校教育職 | 387,189 | 386,442↓ | 384,493↓ | 383,266↓ | 383,787↑ | 381,765↓ | 379,511↓ | 377,218↓ | 375,275↓ | 374,191↓ | 372,405↓ |
大学教育職 | 440,092 | 441,970↑ | 440,176↓ | 434,073↓ | 433,845↓ | 432,007↓ | 430,142↓ | 431,805↑ | 429,105↓ | 430,615↑ | 433,084↑ |
参照:地方公務員給与実態調査
参照:地方公務員給与実態調査を元に筆者が作成
え?下がってるじゃん!
小中高の教育職の平均給料は右肩下がりです。
その額、月2万円ほど減です。
大学教育職も10年前と比べると下がっていることがわかります。
もちろん、このデータは様々な要因によって算出されている数値なので「実際に個人がもらっている給料額がぐんぐん減っている」とは断定できません。
(高齢の先生がごっそり退職すれば、その分平均給料も下がるので)
ただ、平均給料額が月2万も減っているということは、多少の影響があると考えるのが妥当でしょう。
(月2万減→年間24万減ですからね…)
ただ、このグラフを見る限りでは、今後も教員の平均給料額は減りつづけていくのでは?という予測をしてしまいますよね。
これからの予想①教員の給料の「絶対量」が下がる可能性あり
では今後、教員の給料はどうなるのでしょうか。
まず最初に「給料の絶対量が下がる可能性」について見ていきます。
これから先、教員の給料の絶対量(実際にもらう額)が下がるかもしれません。
なぜ給料が減るのか。
それは、少子高齢化により税収が減る可能性があるから。
以下は、15〜64歳の「人口」と「総人口に占める割合」の推移を示したグラフです。
参照:総務省統計局「国勢調査」、「人口推計」を元に筆者が作成したもの
いわゆる「現役世代」の人口が平成7年をピークに減り続けているのがわかります。
また、総人口に占める割合もH30には60%を切ってしまいました。
さらに、日本の合計特殊出生率は2023年に1.2まで下がっています。
(人口を維持するためには、合計特殊出生率は2.07必要です)
つまり、今後税金を収める世代の人数がどんどん減っていくことがわかります。
そしてご存知のとおり、教員の給料は税金から出されています。
収める税金額が減りつづけていったとき、果たして教員の給料は「下がらない」と言うことができるでしょうか?
今でもカツカツなのに、これ以上給料下がったらヤバい…
給料が上がらなくても、豊かに暮らす方法を知っていますか?
それは節約をすること。
節約には、収入(給料)アップと同じ効果があります↓
そして実は、ある節約術を知っていれば、100万円のお金を生み出すのはそこまで難しくありません。
教員の100万円節約術4ステップはこちら >>これからの予想②教員の給料の「相対量」が下がる可能性あり
続いて「給料の相対量が下がる可能性」について見ていきます。
給料自体は変わらなくても、相対的に給料が減る要因として、以下の3つが考えられます。
- 物価が上がり続けるから
- 日本円の価値が下がっているから
- 仕事量が増え続けるから
それぞれ見ていきましょう。
物価が上がり続けるから
日本の経済が成長するためには、ゆるやかなインフレが必要です。
そのため、基本的に物価は上がり続けていきます。
では日本ではどれぐらい物価が上がってきたのでしょうか。
物価の上がり方がわかりやすい「自動販売機のジュース」を例に、どれぐらい物価が上がっているか確認してみましょう。
自動販売機ができた1980年代、缶ジュースは100円で買えていました。
(子供の頃100円とか110円でジュースを買った記憶がある先生も多いのではないでしょうか?)
でも今(2024年現在)では、同じジュースの缶が140円になっています。
この40年で40円(1.4倍)の値上げ。
消費税のUPなどもあるので、単純に物価が1.4倍とは言えませんが、ここではわかりやすく「物価が約1.4倍になった」としておきましょう。
では、日本の物価が約1.4倍上がっている間に、教員の給料は1.4倍に上がったのでしょうか?
否。
先ほどもグラフで示したように、1.4倍に増えるどころか、平均月収は減っています。
物価がゆるやかに上がり続けている中で、教員の給料が「ほぼ変わらない〜減っている」という状況は、
教員の給料の相対量が減っている
ということができるのではないでしょうか。
これから先、物価が上がり続けたときに、教員の給料が「変わっていない」のであれば、給料の相対量が減っているということができそうですね。
日本円の価値が下がっている
教員の給料の相対量が減る要因2つ目は「日本円の価値が下がっていること」です。
高度経済成長が終わってからの日本円の価値は、どんどん下がってきています。
周りを見渡せば、インバウンドの外国人観光客だらけ。
海外製品(iPhoneなど)の製品は価格が上がり続け、
海外旅行の料金も上がり、気軽に海外に行くことができなくなってしまいました。
どれもこれも円安(日本円の価値が下がること)が原因です。
日本は貧しい国になりつつあります。(もうなってしまった…?)
そんな中、昔の水準とほぼ同じ(もしくは下がっている)給料を日本円でもらったとしても、その価値は昔と比べて下がっています。
もし、もらった給料をそのまますべて日本円で保有している先生がいるのであれば、それは「給料の相対量が減っていく」要因になりえます。
日本円の価値が下がっている今、給料をすべて日本円で貯蓄するリスクについて、そろそろ考え始める必要があると思います。
仕事量が増えている
教員の給料の相対量が減る要因3つ目は「教員の仕事量が増えていること」です。
2023年12月の日教組が公表した「学校現場の働き方改革に関する意識調査」の結果では、
- 平日1日の労働時間は、平均11時間24分
- 残業時間は月換算で、96時間20分
ということが明らかにされました。
1971年に給特法が制定され、教職調整額が支払われるようになった頃の残業時間は、月8時間ほどだったという調査結果があります。
つまり、この40〜50年で残業時間は月80時間ほど増えたということになります。
仮に給料の額が一定だったとしても、残業時間が増加しているのであれば、残業代のでない教員の「時給」は大きく下がっているということになります。
- 教員の残業時間が減る
- 残業代が支払われるようになる
のどちらかが実施されない限り、これからも教員の給料の相対量は減っていくことになるでしょう。
まとめ:これからも教員の給料の「絶対量」「相対量」が下がる可能性が高い
教員の給料が今後どうなるか予想してきました。
まとめると、
- 教員の平均給料の数値を見ると、下がり続けていることがわかる
- 少子高齢化による税収が下がれば、教員の給料の絶対量が下がる可能性がある
- 物価が上がったり、日本円の価値が下がったりすることで、教員の給料の相対量が下がる可能性がある
- 教員の残業時間が増えることで、教員の時給が下がる可能性がある
過去のデータから考えると、今後も教員の給料は下がる可能性が高いです。
でも、この記事の予想が外れて教員の待遇が改善されることを祈っています。