「教員の定年が延長するって聞いたけど、いつからなの?」
「定年が延長したら、給料とか退職金とかどうなるの?」
と思っている先生も多いのではないでしょうか。
今までどおり60歳までで辞めるのか、そこから先も続けるのかを決める一つの指標に「給料」がありますよね。
この記事では、教員の定年延長と給料について、以下のことを紹介します。
- 教員の定年延長の実施について
- 定年延長したときの給料について
- 定年延長したときの退職金について
記事を読むことで、定年後の働き方について計画を立てられるようになりましょう。
教員の定年は「段階的に65歳まで」延長
2023年度から、教員の定年は「段階的に65歳まで延長」されることが決まりました。
まずは、どのように延長されていくのかについて、詳しく見ていきましょう。
2023年から「2年ごとに定年が1歳伸びる」
教員の定年延長は2023年度からスタートされました。
…といっても、いきなり65歳まで(5年間)に延長されるわけではありません。
急に「あと5年よろしく!」とか言われたら倒れちゃう…
教員の定年延長は、2年ごとに1歳伸びるように設定されています。
年度 | 定年 |
---|---|
2023〜2024年度 | 61歳 |
2025〜2026年度 | 62歳 |
2027〜2028年度 | 63歳 |
2029〜2030年度 | 64歳 |
2031年度〜 | 65歳 |
2023年度から定年の引き上げが始まり、最初の2年間は61歳が定年、次の2年間は62歳…といったように段階的に上がっていきます。
そして、2031年度には、定年延長が完了する予定です。
定年退職者がいない年度がある
ちょっとした豆知識ですが、2023年度から2年ごとに定年が引き上げられるので、日本中の定年退職者が0人になる年があります。
- 2023年度
- 2025年度
- 2027年度
- 2029年度
- 2031年度
引き上げが開始する「奇数の年度」は定年退職者が0になるね
2031年までは、定年退職者をお祝いする飲み会などが隔年開催になりますね!
(まぁ自己都合退職の方や異動する先生方がいるので、年度末の飲み会は開催されるんですけどね)
教員の定年延長時の給料は「7割」
では、一番気になる「定年延長後(60歳〜65歳)の給料」について見ていきましょう。
基本給は定年延長前の7割になる
定年延長後(60歳〜65歳)の基本給は、60歳のときの7割相当に減ります。
7割に減るタイミングは、60歳の誕生日を迎えた日以降に来る最初の4月1日。
(「60になった次の年度から」ということですね)
仮に、60歳のときの基本給は40万円だったとしたら、次の年度から基本給が28万円になります。
7割って、けっこう減らされるんだね…
ちなみに、校長や教頭などの管理職だった先生は、「管理職の頃の基本給の7割」となります。
※本来なら、管理職は0歳の誕生日を迎えた日以降に来る最初の4月1日に降任(一般の教員と同じ給与体系になる)するのですが、うまく調整される仕組みになっているようです。
仮に、60歳・管理職のときの基本給が50万円だとしたら、次の年度から基本給が35万円になります。
また、給料の4%分がもらえる「教職調整額」も基本給の減額とともに減ってしまいます。
私の知り合いの先生は「7割になってまで働く元気はないから、スパッと60で辞める!」と言っていました
手当は「7割になるもの」と「そのままのもの」がある
定年延長後(60歳〜65歳)の基本給は、全員7割に減りますが、手当はどうなるのでしょうか。
手当については、「7割に減るもの」と「そのままのもの」があります。
- 地域手当
- 時間外勤務手当
- 期末・勤勉手当
- 住宅手当
- 扶養手当
- 通勤手当
基本給を元に計算されて支払われている手当に関しては「7割」になり、基本給とは別で支給されている手当は「そのまま支給」というようになっているのでしょうね。
7割ほどに減っちゃうなんて、かなりつらいな…
定年延長後は給料がグッと減ってしまうので、今のうちに何か手を打っておく必要がありますね。
教員の100万円節約術4ステップはこちら >>教員の定年延長後の退職金はどうなる?
教員の定年延長後の退職金はどうなるのでしょうか?
結論から言うと、「定年が延長したことで不利益を被ることはない」ということです。
給料が7割になるからといって、退職金が7割になる…なんてことはありませんので、ご安心を。
教員の退職金を決める大きな要因として、
- 退職時の給料月額
- 勤続年数
- 退職理由
の3つがあります。
※他にも「調整額」がありますが、こちらではどうにかしにくいものなので割愛させていただきます
定年延長した場合、この3つがどのような扱いになるのか見ていきましょう。
退職時の給料月額は「ピーク時」のものが適用される
退職金には、退職時の給料月額が反映される仕組みになっています。
退職するときの給料月額が「40万円の先生」と「50万円の先生」だったら、50万円の先生の方が多く退職金をもらえるようになっています。
え!?じゃあ定年延長後、給料が7割になったらヤバいじゃん!!
ただし、定年延長後の60〜65歳の退職には、給料減額前の最高額を適用する「ピーク時特例」というのが適用されます。
つまり、60歳(減額される前)の給料月額を元に計算をしてくれるということ。
そのため、定年延長で給料が7割に減額されたからと言って、退職金が7割に減ることはありませんのでご安心ください。
勤続年数で得する人がいるかも!?
退職金には、勤続年数が反映される仕組みになっています。
10年間教員をした先生よりも、35年間教員をした先生のほうが多く退職金をもらえるようになっています。
ってことは「定年が延長=勤続年数UP」だから、退職金がUPするってこと?
勤続年数による加算は、最大35年間と決まっています。
35年間以上働いている先生は、残念ながらそれ以上働いても退職金UPにはなりません。
ただし、中途採用などで「30歳から教員になった」「40代から勤めはじめた」という先生は、定年延長により勤続年数が増えることになるので、その分退職金もUPします。
「自分が教員になった時期」は、60歳以降も続けるかどうかを決める1つの判断材料になりそうですね。
退職理由
退職金には、退職理由によって支給される額が変わります。
自己都合で退職する先生よりも、定年退職する先生の方が多く退職金をもらえます。
え!?じゃあ、定年延長されたときに60歳で退職したら「自己都合退職」になって退職金が下がるの??
60歳以降に退職した場合は、自己都合の退職でも「定年退職と同じ」分だけ退職金が支給されます。
なので、以下の3パターンはどれも「定年退職と同じ分」もらうことができます。
- 60歳でスパッと辞めるぞ!
(自己都合退職) - 65歳まで働こうと思ったけど、やっぱりきつくなってきたから、62歳で辞めよう…
(自己都合退職) - 65歳まで働いて定年退職だ〜
(定年退職)
60まで頑張れば、あとはいつ辞めても同じなんだね!安心した〜
教員の定年延長によるメリットは何かあるの?
教員の定年延長で、
- 給料は7割に…
- 退職金は今変わらず(の人が多い)
ということについて触れてきました。
…なんだか、これだけ聞くと「給料が減って働かされるなんて…」とつらいばかりな感じがしますよね。
60すぎて働くだけでもきついのに…
定年延長によるメリットは、何かないのでしょうか?
ここでは、「生涯年収と年金」「医療費の自己負担」の視点から、定年延長のメリットを見ていきます。
生涯年収と年金が増える
定年延長による最も大きなメリットは、「生涯年収」と「年金」の増加でしょう。
これまでの定年である60歳を超えて働くことで、その分だけ追加の収入が得られます。
延長期間中の給与は従来の7割に設定されますが、早期に退職するよりも大幅に生涯年収が増加します。
例えば、月額40万円の給与を受け取っていた教員が5年間定年延長を選択した場合、
(40万円✕7割)✕60ヶ月=1,680万円
単純計算で、1,680万円の追加収入が得られるのです。
また、厚生年金の被保険者期間が延長されるため、将来受け取る年金額も増加します。
さらに、定年延長により年金の受給開始を遅らせることもできるため、受給開始年齢に応じた増額率(最大で42%増)が適用されます。
このように、定年延長は収入面・年金面で大きなメリットがあります。
医療費の自己負担が軽減できる
定年延長のもう一つのメリットは、医療費の自己負担の軽減です。
定年延長により被用者保険(公立学校共済組合など)の加入期間が延びることで、以下のようなメリットが得られます。
- 保険料が安くなる
定年延長で給与が7割になっても、保険料負担は軽減される。 - 高額な治療も安心
被用者保険の高額療養費制度は、国民健康保険よりも有利な場合が多いので、大きな手術が必要になっても自己負担が抑えられる。 - 入院サービスあり
多くの被用者保険では、入院時の食事代の補助や、医療費の自己負担分の一部が還付されるなどのサービスが付いている
医療費の補助も延長されるのは、安心感がありますよね。
まとめ:教員の定年延長で「給料7割」「退職金不利益無し」
教員の定年延長の仕組みや給料の変化などについて紹介してきました。
まとめると、
- 2023年から2年に1歳ごと定年が延長する(最長65歳まで)
- 定年延長時の給料は7割ほどに減る
- 定年延長によって、退職金で不利益を被ることはない
- 生涯年収&年金UP・医療費軽減などのメリットも
給料自体は7割に減ってしまいますが、
- 生涯年収は上がる
- 医療費の自己負担も軽減できる
というメリットもあります。
ご自身の体力と気力と財力を天秤にかけながら、60歳以降も働くのかどうかを決めていきたいですね。