「教員の給料は高いの?低いの?」
「教員の仕事量が多すぎて、給料が割に合ってないと思うんだけど…」
と思っている人も多いのではないでしょうか。
教員は、一般的に「収入が安定した職業」と言われますよね。
実際のところはどうなのでしょうか。
まずは教員の平均年収を見てみましょう↓
年齢 | 平均年収 | 平均月収 |
---|---|---|
20代前半 | 約386万円 | 約32万円 |
20代後半 | 約466万円 | 約39万円 |
30代前半 | 約630万円 | 約52万円 |
30代後半 | 約682万円 | 約56万円 |
40代前半 | 約793万円 | 約66万円 |
40代後半 | 約885万円 | 約74万円 |
50代前半 | 約953万円 | 約79万円 |
50代後半 | 約1,002万円 | 約84万円 |
こちらは、「令和4年賃金構造基本統計調査 職種(小分類)年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」で示されているデータです。
20代前半で月32万って、めっちゃ高くない?
ボーナスや手当諸々含まれている額なので、普段の手取りで見る額面よりも多く感じると思いますが、平均値はこれぐらいとのことです。
この表を見ると「教員って給料高いな!」と思う人も多いと思います。
…しかし、本当に教員の給料は「割に合っている」と言えるのでしょうか?
この記事では、「教員の給料が割に合っているのかどうか」について、以下のことを紹介します。
- 教員の給料を時給換算してみた結果…
- 教員の給料を「割に合わせる」方法
記事を読むことで、あなたの給料を「割に合わせて」いきましょう。
教員の給料は割に合わないのか?時給換算した結果…
教員の給料を時給換算してみました。
教員の平均労働時間のデータが、2023年の日教組「学校現場の働き方改革に関する意向調査」(独立行政法人労働政策研究・研修機構の記事)から出ています。
そのデータを元に、教員の月の平均労働時間を計算すると「251時間20分」※。
※計算方法はのちほど解説
ここでは「月251時間」を教員の平均労働時間とし、以下の3パターンで時給換算しました。
- A:月300時間労働の場合(平均より多め)
・月の残業時間が145時間
・1日あたり7.25時間残業
→「研究授業がある月」「学年主任」「部活を熱心にしている先生」はココ - B:月251時間労働の場合(平均値)
・月の残業時間が96時間
・1日あたり4.8時間残業
→教員の平均労働時間がココ - C:月200時間労働の場合(平均より少なめ)
・月の残業時間が45時間
・1日あたり2.25時間残業
→毎日残業しないように心がけている先生はココ
年齢 | A:月300時間労働 | B:月251時間労働 (平均値) | C:月200時間労働 |
---|---|---|---|
20代前半 | 時給1,067円 | 時給1,275円 | 時給1,600円 |
20代後半 | 時給1,300円 | 時給1,550円 | 時給1,950円 |
30代前半 | 時給1,733円 | 時給2,000円 | 時給2,600円 |
30代後半 | 時給1,867円 | 時給2,231円 | 時給2,800円 |
40代前半 | 時給2,200円 | 時給2,629円 | 時給3,300円 |
40代後半 | 時給2,467円 | 時給2,948円 | 時給3,700円 |
50代前半 | 時給2,633円 | 時給3,147円 | 時給3,950円 |
50代後半 | 時給2,800円 | 時給3,346円 | 時給4,200円 |
時給が国の最低賃金と同じぐらいのところはオレンジ線
時給が3,000円超えているところは青線を引いてます。
うわぁ…AとBの20代前半は、最低賃金レベルなんだね
それぞれのパターンごとに、「割に合っているか」を見ていきましょう。
A:月300時間労働では「割に合わない」
A(月300時間労働)の場合の表を抽出しました↓
年齢 | A:月300時間労働 |
---|---|
20代前半 | 時給1,067円 |
20代後半 | 時給1,300円 |
30代前半 | 時給1,733円 |
30代後半 | 時給1,867円 |
40代前半 | 時給2,200円 |
40代後半 | 時給2,467円 |
50代前半 | 時給2,633円 |
50代後半 | 時給2,800円 |
A(労働時間月300時間・1日残業時間7時間程度)の先生の時給を見ると、割に合わない給料と言えるでしょう。
20代前半の時給は1,067円。
これは、都市部の最低賃金の時給と比べて低くなっています。
(執筆地点で東京都が1,163円、神奈川県1,162円、大阪1,114円、愛知1,077円)
さらに、月300時間の労働では、50代になっても時給3,000円を超えることはありません。
非常勤講師の時給が2,500円〜3,000円程度。
月300時間の労働を続けるぐらいなら、「非常勤+別の副業」の方が割に合った働き方ができるかもしれません。
(もちろん福利厚生が恵まれているので、時給換算だけで決めてはいけませんよ!!)
ちなみに、月300時間の労働がどれぐらいかというと、平日の残業時間が1日7時間程度。
おそらく
- 初任者の先生
- 研究授業・研究発表会などがある先生
- 学年主任をしている先生
- 部活を熱心にしている先生
- 休日も学校で作業をしている先生
- クラスのモンスターペアレンツが暴れまわってて、その対応に追われている先生
などは、月300時間ぐらいの残業をしているのではないでしょうか。
私も経験ありますが、
- 初任者の頃は毎日3時間睡眠
- 研究発表会があったときは夜12時超えるまで職員室
- 学年主任中は、常に学校のことで頭がいっぱい
- モンスターペアレンツが暴れまわってるときは、残業的にも精神的もヤバい
の場合は、月300時間を超えていたと思います。
月300時間の労働は、教員にとって「あってもおかしくない仕事量」といえます。
B:月251時間労働(平均)では「割に合わない」
続いて、教員の平均値であるB(月労働時間250時間・1日残照時間4時間程度)を見てみましょう。
Bのみを抽出しました↓
年齢 | B:月251時間労働 (平均値) |
---|---|
20代前半 | 時給1,275円 |
20代後半 | 時給1,550円 |
30代前半 | 時給2,000円 |
30代後半 | 時給2,231円 |
40代前半 | 時給2,629円 |
40代後半 | 時給2,948円 |
50代前半 | 時給3,147円 |
50代後半 | 時給3,346円 |
このBの月251時間労働というのは、日本の教員の平均労働時間なので、多くの先生はこの時給で働いているということになります。
…ですが、残念ながらBの場合も「割に合っている」とは言い難いです。
20代前半では最低賃金レベルとなっており、さらに40代になるまで時給2,000円代が続きます。
もっとも仕事量が増える30代後半〜40代後半が時給2,000円代というのは、「割に合わない感」がすごいですね。。。
(先ほども述べましたが、非常勤講師の時給が2,500円〜3,000円程度なので、Bの状態だと「50代にならないと非常勤講師の時給を超えられない…」ということになってしまいます。)
C:月200時間の労働だと「割に合っている」?
最後に、C(月200時間労働)について見ていきましょう。
こちらも先ほどの表からCの部分を抽出しました↓
年齢 | C:月200時間労働 |
---|---|
20代前半 | 時給1,600円 |
20代後半 | 時給1,950円 |
30代前半 | 時給2,600円 |
30代後半 | 時給2,800円 |
40代前半 | 時給3,300円 |
40代後半 | 時給3,700円 |
50代前半 | 時給3,950円 |
50代後半 | 時給4,200円 |
C(月労働時間200時間・1日残業時間2時間程度)では、それなりに時給がもらえて「割に合っている」といえそうです。
40代前半から時給3,000円超え。
さらに毎日19時ごろには家について、ゆっくり過ごす時間も確保できる。
…そんなゆったりした教員生活を送りたいですよね。
「月の平均労働時間:251時間20分」ってどこから来た数字なの?
2023年の日教組「学校現場の働き方改革に関する意向調査」(独立行政法人労働政策研究・研修機構の記事)で示されていたデータは「一週間あたりの教員の平均労働時間:62時間50分」でした。
そのため、この記事では、単純に「✕4(4週間分)」して
62時間50分 ✕ 4週間 = 月251時間20分
と計算させていただきました。
教員の給料を「割に合わせる」方法
教員の給料を割に合わせるために、できることは2つあります。
- 労働時間(残業時間)を減らすこと
- 給料の使用金額を増やすこと
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.労働時間を減らす
教員の給料を割に合わせる方法1つ目は「労働時間(残業)を減らすこと」です。
これは単純ですね。
先ほどのC(月労働時間300)の人が、A(月労働時間200)まで労働時間を減らせれば、割に合わせることができるのです。
労働時間を減らすためには、仕事術を身につけるのが一番の近道です。
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また、最近では「AI」の力を借りて、教員の仕事をサポートしてもらえるようになりました。
こちらで拙著『教師のAI仕事術シリーズ』の本を見れるので、一度確認してみてくださいね↓
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2.給料の使用金額を増やす
2つ目の方法は「給料の使用金額を増やす」ことです。
ちょっと何言ってるかわかんないんだけど…
教員は生涯でもらえる給料の額が、ある程度決まっています。
しかし、人によっては「贅沢な暮らしをしている先生」や「お金に全く困っていない先生」がいるのです。
なぜ、同じ職業で同じ給料をもらっているのに、お金に余裕のある先生がいるのか?
それは「上手な節約法」と「お金を増やす方法」を知っているから。
同じ給料でも、上手な節約法を知っていれば、自由に使えるお金が増やせるので、「教員の給料=割にあったもの」になりますよ。
教員の私でもできた!100万円節約の方法とは? >>教員の給料が割に合うかどうかは「労働時間」と「お金の使い方」が鍵
教員の給料が割に合うかどうかについて、解説してきました。
まとめると、
- 教員の給料は、一般的に見たら「恵まれている」
- 月の労働時間が250〜300時間の先生は「割に合わない」
- 月の労働時間が200時間の先生は「割に合う」働き方といえる
- 割に合った働き方をしたいなら「仕事の効率化」と「お金の使い方」を見直そう
教員は、給与体系自体は恵まれているので、あとは「労働環境」が整い、働きやすい職業になっていったらいいですね。
全国の教員の給料ランキング、1位がどこか知ってますか?↓