「教員の給料って何で上がらないの?」
「もっと教員の給料が高くなってくれたらいいのに…」
と思っている先生も多いのではないでしょうか。
この記事では、教員の給料が上がらない理由を3つ紹介します。
- 給料が上がらない理由①:給与固定で残業代も出ないから
- 給料が上がらない理由②:民間・他の公務員に合わせるから
- 給料が上がらない理由③:出世の心理的ハードルが高い
記事を読んで、なぜ教員の給料が上がらないのか、その謎に迫っていきましょう。
教員の給料が上がらない理由①給与の仕組みが決まっているから
まずは「自分の意志や努力では教員の給与を上げられない理由(特に若い先生)」から紹介します。
なぜ、自分の意志や努力で給料が上がらないかと言うと、給与の仕組みが決まっているから。
こちらはご存知の先生が多いと思いますが、確認しておきましょう。
教員の給与は年功序列で給与が決まっている
教員の給与は「等級」と「号給」である程度決まっています。
等級と号給のイメージは、教育職給料表を見ていただくのが早いです↓
引用:東京都の教育職給料表
等級というのは、教員の役職のこと。
給料表でいう「横」のことです。
東京都の等級を見てみると、
- 1級:講師
- 2級:教諭
- 3級:主任
- 4級:主幹
- 5級:副校長
- 6級:校長
となっています。
続いて、号給というのは、勤続年数によって等級を細分化したものです。
給料表で言う「縦」のことです。
大学卒で東京の教諭になった場合、2級-9号給からスタートします。(195,600円スタート)
そして、1年務めるたびに4号給ずつ上がっていきます。
1号給当たり約2,000円。
1年で4号給上がるので、毎年約8,000円ほど月給が高くなっていくような感じになります。
今のは東京都を例に見ていきましたが、基本的にはどの都道府県も同様の給与体系となっています。
給料を上げようと思ったら「等級」か「号給」を上げなければならないのですが、
- 等級を上げるには管理職試験を受ける
- 号給を上げるには経験年数を積む
の二択しかないのです。
管理職試験を受けられない20代や30代の先生は、どんなにあがいても「給料が上がらない」のです。
さらに、もう一つ「どんなにあがいても給料が上がらない」事例があります。
残業代が出ない
御存知の通り、教員には残業代が出ません。
教員の勤務は勤務態様の特殊性があることから、一般の行政職のような残業代の制度は適用されないこととなっています。
つまり、教員には残業代という概念自体が存在しないということ。
それを埋め合わせる形で、教職調整額が支給されているのですが、その額は給料月額の4%のみ。
月8時間分の残業代分しか支払われていないのです。
つまり、月8時間を超えた分の時間外勤務はすべてタダ働きということ。
一般のサラリーマンであれば、残業をすることで手取りの金額を増やすことができますが、それすらもできない状況。
このように、教員の給料は、自分の意志や努力では給料が上がらない仕組みとなっているのです。
教員の残業代や教職調整額について詳しく知りたい人は、こちらもチェック↓
2024年4月ごろから「教職調整額が4→13%にアップするかも?」という話題が出てきました。
詳しくは教職調整額の引き上げはいつから?の記事をチェック↓
教員の給料が上がらない理由②民間・他の公務員の給料に合わせるから
続いて、教員全体の給料が上がらない理由を紹介します。
なぜ教員全体の給料が上がらないのかというと、教員の給料は民間や他の公務員の給与に合わせるように調整される性質があるから。
「教員の仕事量が激務だから、給料上げてよ〜」
と思っていても、公務員の性質上周りの給与と足並みを揃えないといけないから、なかなか上がらないんですよね。
そのことについて、詳しく見てみましょう。
民間の給与によって調整される
教員を含む地方公務員の給与は、「民間の給与の実態を調査した上で調整される」という性質があります。
民間の給与が上がれば教員の給与にも反映されますが、民間の給料が下がると教員の給与も下がります。
以下は国税庁が調査している令和3年分民間給与実態統計調査をグラフにしたものです。
平成21年を境にして、徐々に平均年収は増えてきていますが、平成9年度あたりの年収と比べるとまだまだ全然低くなっています。(20万円ほど低いですね)
民間の給料が上がることで、私たち公務員の給料もUPしていくので、日本の経済が成長していくことを祈っていきましょう。
(人口減、出生率減、超高齢化社会、グローバル化への対応遅れ、規制の多い日本政府など、問題は山積みですが…)
他の公務員よりも教員は優遇されている
教員の給与は、民間だけでなく、その他の公務員とも足並みを揃えなければならない仕組みになっています。
先日、教職員調整額引き上げが話題になりましたが、その中で財務省から出された「財政制度等審議会財政制度分科会(令和6年4月9日)資料」の中に以下のような内容が含まれていました。
- 地方公務員の給与は、国や民間の給与を考慮することとされている(均衡の原則)
- 教員給与は、時間外勤務手当を含む一般行政職給与より高い
- 教職調整額が本給として支給されているため、退職手当も一般行政職より優遇されている
- (だから、教職調整額を引き上げるのは、本当に妥当なのかを考え直さないといけないんじゃないの?)
…最後の( )の部分は、私の憶測で財務省の気持ちを代弁したものなのが…(笑)
教員の給与は他の公務員よりも恵まれていると財務省が言及しているということは、これ以上教員の給料だけを上げるのに否定的な立場であることがわかります。
このように、民間・他の公務員と給与の足並みを揃えなければならないことが、「教員の給料が上がらないこと」の1つの原因になっていると言えるでしょう。
教員の私でもできた!100万円節約の方法とは? >>教員の給料が上がらない理由③出世の心理的ハードルが高い
最後に、教員の給料が上げにくくしている心理的な要因について紹介します。
教員の給料を上げにくくしている心理的な要因は、出世の心理的ハードルの高さです。
これは「上がらない理由」というよりも「上げなくてもいいや、と思わせる理由」といった方が正しいかと思います。
なぜ、教員は出世への心理的ハードルが高いのか。
それは、教頭の業務が激務すぎるから。
ここで説明するまでもな位と思いますが、教頭先生の業務は膨大すぎます。
朝早くから通勤して、大量に押し寄せてくる資料をさばき、1日に何件も保護者対応をこなし、夜遅くまで残って仕事をしている教頭先生。
理不尽な保護者のクレームに頭を下げながら対応する姿。
…そんな姿を毎日見せられたら、
「昇給しなくてもいいから、仕事量が少ないほうがいいな…」
と思うのも自然ですよね。
教頭の業務量が多すぎることが、出世への意欲を削ぎ、「給料が上がらなくてもいいや…」という人を増やしているのです。
まとめ:教員の給料は上がりづらい仕組みになっていた!
教員の給料が上がらない3つの理由について紹介しました。
まとると、
- 給与の仕組みが決まっているから、自分の意思や努力で給料が上がらない
- 民間や他の公務員と足並みを揃える性質から、教員全体の給料が上がらない
- 管理職の仕事が激務すぎるから、出世を回避しようとして給料が上がらない
教員の仕事はリストラもなく、必ずボーナスももらえるため安定した職業と言われています。
ただ、日々の業務の過酷さを考えると、もう少し給料をUPしたらうれしいですよね〜。
教員の給料は上がらないどころか、今後下がっていくのではないか?という予測も…。
詳しくは教員の給料はこれからも下がる?記事をチェック↓
教員の給料が割に合わないと言われる理由はこちら↓